3.1.1 レーダー管制とは

レーダー管制とは

文字通りレーダーを使って管制を行うことです。VATSIMでは全ての航空機がVRC/ASRCなどの管制官向けソフトウェアに機影が映りますが、飛行場管制では原則としてレーダー管制は行いません。コントロール管制官、デパーチャー・アプローチ管制官(レーダー管制官)がレーダー管制を行います。

 

レーダー管制の開始

レーダー管制を行う場合にはまず当該航空機をレーダー上で識別することから始まります。これをレーダー識別といいます。レーダー識別をするには次の方法のいずれで行いますが、VATSIMで多いのは1番目と4番目になります。レーダー識別のときには高度やスコークが正しいことを確認しましょう。
なお管制されていないエリアから進入してきた航空機から交信があった場合で、レーダー管制を行う場合も識別からスタートします。

  1. 出発機のターゲットを離陸滑走路の末端から1マイル以内で捕捉する場合。
  2. 航空機からのVORもしくはTACANに基づく位置通報を受けたときに、唯一のターゲットが存在し、さらにその磁針路または飛行経路があっている場合
  3. 30度以上の識別旋回を行わせ、その結果による場合。
  4. トランスポンダーのIDENTの送信による場合

アイデントを送って下さい。
IDENT.

〔コード〕とアイデントを送って下さい。
Squawk〔code〕AND IDENT.

モードアルファ/3.〔コード〕とアイデントを送って下さい。
SQUAWK ALFA/THREE,〔code〕AND IDENT.

  1. トランスポンダーをStand-byさせ、その後再度Normalに戻して識別する場合。

トランスポンダーを待機にして下さい。
SQUAWK STANBY.

〔コード〕を送って下さい。
SQUAWK〔code〕.

 

レーダー識別ができたら、次の用語でその旨を通知します。位置通報は上記1番目と2番目での識別の際には省略できます。

レーダーコンタクト(〔位置〕)
RADAR CONATCT (〔position〕).

離陸直後の交信例

Tokyo departure, Japanair 1801, airborne. Leaving 1500 for FL240.
東京デパーチャー、こちらジャパンエアー1801です。離陸しました。現在1500フィートを通過しフライトレベル240まで上昇します。

Japanair 1801, Tokyo departure, radar contact.
ジャパンエアー1801、東京デパーチャーです。レーダーで捕捉しました。

Japanair 1801.
(交信を受領しました)。

UNICOMからの到着機との交信例

Kumamoto approach, JA815C, 45 miles South West of Kumamoto VOR. Altitude 7000.
熊本アプローチ、こちらJA815Cです。現在熊本VORの45海里南西で、高度は7000フィートです。

JA815C, Kumamoto approach. Squawk 5741 and ident.
JA815C、熊本アプローチです。スコークコード5741とアイデントを送って下さい。

5741 and ident, JA815C.
スコークコード5741とアイデントを送ります。

JA815C, radar contact. 45 miles South West of Kumamoto VOR, Maintain 7000. QNH 2979.
JA815C、レーダーで捕捉しました。現在熊本VORの45海里南西です。7000フィートを維持して下さい。高度規正値は29.79インチです。

Maintain 7000, 2979, JA815C.
7000フィートを維持します。高度規正値は29.79インチ。

 

レーダー管制の終了

レーダー管制を終了する場合は次の用語により通報します。

レーダー業務を終了します(〔ノンレーダー経路〕)
RADAR SERVICE TERMINATED (〔non-radar routing〕).

JA815C, 20 miles East of Kumamoto VOR, Radar Service Terminated.

 

なお次の場合は自動的にレーダー管制が終了しますので、"radar service terminated."の通報は必要ありません。

・航空機がIFRでの飛行を取り下げた場合(Cancel IFR)
・計器進入方式によって着陸した場合
・計器進入を許可し、タワー管制官が視認した場合
・視認進入(ビジュアルアプローチ)を許可し、タワー管制官にハンドオフした場合
・レーダー進入(GCA)を終了する場合

Japanair 1801, cleared for visual approach runway 07, contact tower 118.1.

Cleared for visual approach runway 07, contact tower 118.1, Japanair 1801. Good day.

Good day.

 

レーダー識別を失った場合

レーダーから機影が消えた場合は、その旨を通報します。

レーダーコンタクトロスト(〔代替指示〕)
RADAR CONTACT LOST (〔alternative instructions〕).

 

管制間隔

レーダー業務では航空機同士が衝突しないようにするため、取るべき間隔が決まっています。レーダー管制を行っている間、レーダー識別を行った航空機間に次の間隔を取るようにしましょう。

・水平方向 5nm
・垂直方向 1000ft

なお出発機と到着機間は2nm以上の間隔、コントロール管制官にハンドオフする場合は10nm以上の間隔が必要になります。