2.1.1 クリアランスの発出

クリアランスの発出

イニシャルコンタクト

IFR出発機から最初の交信があります。この時点でパイロットからフライトプランが提出されていない場合はパイロットに確認して下さい。

Tokyo Delivery, Japanair 1801, Spot 2.
東京デリバリー、JAL1801、2番スポットに駐機中。

Japanair 1801, Tokyo delivery, go ahead.
JAL1801、東京デリバリーです。どうぞ。

Tokyo Delivery, Japanair 1801, request ATC clearance to Kumamoto Airport, Proposing FL340. We have information A.
東京デリバリー、熊本空港までのIFRクリアランスを要求します。フライトレベル340での巡航を希望します。インフォメーションAを確認済み。

Japanair 1801, roger, stand-by for clearnce.
了解。しばらくお待ちください。

Japanair 1801.
(交信を受領しました)。

フライトプランの確認

フライトプランを発出する前に、以下の点を確認します。

  • IFRフライトプランであるか
  • 出発 / 目的空港(地点)は正しいか
  • 巡航高度は正しいか
    • 東行きは奇数×1000ftであること
    • 西行きは偶数×1000ftであること
    • プランされている全ての航空路のMEAよりも高いこと
  • ルートは正しく目的地まで連続しているか
  • 備考欄に特記事項はないか

SIDの決定

フライトプランに問題がなければ、フライトプランの最初のFIXやVORにつながるSID・トランジションを選定します。フライトプランにSIDが直接記入してある場合、支障がない限りはそれを尊重してください。レーダーベクター(R/V)による出発を希望している航空機に対しては、SIDは利用せず、最初の地点までのR/Vでクリアランスを発出します。

初心者や外国のパイロットは、しばしばどのSIDやトランジションも繋がっていない地点から開始するフライトプランを提出することがあります。その場合は以下の様な対処を行ってください。なお、1及び2の場合、VATSIMのパイロットはいきなり対応できないこともありますので、事前にチャットで打診したり、日本語による意思疎通を行ったりすることをお勧めします。

例:羽田の出発機がKCCから始まるフライトプランを提出した場合

  1. パイロット提出のフライトプランを一部又は全部却下し、適切なフライトプランでクリアランスを発出する
    JYOGA1 JYOGA Y56 TOHME Y54 KOHWA... 
  2. 最初の地点へ向かうのに最も適切なSIDを割り当て、その後当該地点へ直行するクリアランスを発出する。
    JYOGA1 JYOGA DCT KCC then Flight Planned Route.
  3. 最初の地点へR/Vする
    R/V KCC then flight Planned Route.

暫定高度およびスコークの割り振り

出発経路が決定したら、暫定高度を設定します。暫定高度は原則としてCRCに従って決定します。ただし、ターミナル管制官(APP)が特別に指定した高度があれば、そちらを優先します。なお、ここまでの手順はパイロットからフライトプランが提出された時点ですぐに作業を始めていて構いません。

VRC操作
暫定高度 : F8キー → 3桁入力 → ASEL(テンキー+)またはターゲットをクリック
スコーク : F9 →  ASEL(テンキー+)またはターゲットをクリック

クリアランスの発出

ここまでの準備が整ったら、クリアランスを発出します。

[経路]により[目的地]までの計器飛行を許可します。(離陸後[暫定高度]を維持してください。)巡航高度は[巡航高度]。(出発管制周波数は[周波数]です。)トランスポンダーコードは[トランスポンダーコード]に設定してください。
CLEARED TO [DESTINATION] VIA [ROUTE]. MAINTAIN ([TEMPOLARY ALT], EXPECT) [CRUISE ALT], (DEPARTURE FREQUENCY [FREQ]), SQUAWK [SQ CODE].

クリアランス発出交信例

Japanair 1801, clearance. ready to copy?

Japanair 1801, go ahead.

Japanair 1801, Japanair 1802, Cleared to Tokyo international airport, via RINDO 2 departure, Oita transition, flight planned route. Maintain 9000 expect FL310. Departure frequency will be 126.5. Squawk 5471.

Cleared to Tokyo international airport, via RINDO 2 departure, Oita transition, flight planned route. Maintain 9000 expect 310. Departure 126.5. Squawk 5471. Japanair 1802.

Japanair 1801, read back is correct. Contact Ground 121.7 when ready.

Contact Ground 121.7 when ready, Japanair 1801.
 

なお、NOTAMで高度規定がある空港(成田・羽田・伊丹・関西等)は暫定高度のみを通報します。また、定められた暫定高度よりも巡航高度が低い場合は巡航高度のみを通報します。

復唱に誤りがある場合

Japanair 1801, Japanair 1802, Cleared to Tokyo international airport, via RINDO 2 departure, Oita transition, flight planned route. Maintain 9000 expect FL310. Departure frequency will be 126.5. Squawk 5471.

Cleared to Tokyo international airport, via RINDO 2 departure, Oita transition, flight planned route. Maintain 9000 expect 310. Departure 126.5. Squawk 5472. Japanair 1802.

Japanair 1801, negative. Squawk 5471.

Squawk 5471, Japanair 1801.

Japanair 1801, Read back is correct.

レーダーベクターによる出発機のクリアランス

Japanair 1801, Japanair 1802, Cleared to Tokyo international airport, via radar vector to TAE, flight planned route. Maintain 9000 expect FL310. Departure frequency will be 126.5. Squawk 5471.

VATSIM特有のフライトプラン

VATSIMでは、リアルとは異なり、ルート欄にインテンションのみが書かれたフライトプランなどもしばしば提出されます。これらのフライトに関しては、慣習的な対処をします。厳密に考える必要はありません。

IFR : RJFM-RJFM : 5000ft : REQUEST R/V TO FINAL, T/G
→ レーダーベクターにより空港の周りを飛行し、ILSアプローチでタッチアンドゴーのトレーニングをしたいトラフィックです。
Cleared to Miyazaki via R/V to final. Maintain 5000ft, Squawk 1541, read back.
IFR : RJFM-RJFM : 5000ft : LOCAL
→ ルート欄にLOCALとだけ書かれたIFRのフライトプランも時々現れます。この場合はパイロットに意図を確認して下さい。
VFR : RJFM-RJFM : - : TCA R/V FOR SMULATED ILS APCH, T/G.
→ VFR機ですが、離陸直後からTCAによるレーダーサービスを受けることをリクエストしています。VFR機のため、クリアランスは出しませんが、ターミナル管制官と調整の上スコークや暫定高度を必要に応じて決定し、航空機に通報してください。