2.3.3 管制圏内の飛行

管制圏内の飛行

管制圏内を飛行している航空機に対して発出することのできる許可を説明します。

 

間隔調整

タワー管制官は滑走路を離着陸する航空機相互間に「目視」で間隔を設定しますが、その間隔が十分でないときは管制官が調整を行います。ただしパイロットが対応できるように、ある程度の余裕を持って下さい。
例えば、ダウンウインドレグを伸ばす場合、360/270度旋回をさせる場合にはミドルダウンウインドまでに発出して下さい。

先行機に続いて飛行させる場合は次の用語により、設定を行います。

着陸順序は〔着陸順位〕番です。〔航空機の型式及び位置〕に続いて下さい。
NUMBER〔landing sequence number〕, FOLLOW〔type and location of aircraft〕.

JA815C, number 2, follow Beech on base.

number 2, follow him, JA815C.

 

ダウンウインドを伸ばさせる場合は次の用語により、設定します。

ダウンウインドをのばして下さい。
EXTEND DOWNWIND.

 

なおダウンウインドを伸ばした場合、管制官の許可がない限り、航空機はそのままレグを伸ばします。間隔が取れたのであれば、"FOLLOW〔type and location of aircraft〕."で続かせるか、下記の指示で滑走路への進入を継続させます。

(滑走路〔番号〕)進入を続けて下さい。
(RUNWAY〔number〕) CONTINUE APPROACH.

 


ベースレグを滑走路寄りにして短くアプローチ(ショートアプローチ)をさせる場合は、次の用語により設定します。

ショートアプローチして下さい。
MAKE SHORT APPROACH.

 

ダウンウインドレグ上で360度旋回、またはベースレグに入るために270度旋回を行わせる場合は、次の用語を使います。

右/左に360°/270°旋回して下さい。
MAKE RIGHT / LEFT THREE SIXTY / TWO SEVENTY.

 

位置通報の要求

到着機に対して、必要に応じその位置を要求できます。ただし意味のない要求はできるだけしないようにしましょう。

〔位置通報点〕上で通報して下さい。
REPORT OVER〔reporting point〕.

JA815C, report over DAISHIBASHI.

 

(右)ダウンウインド/ベース/ファイナル旋回で通報して下さい。
REPORT (RIGHT) DOWNWIND / BASE / TURNING FINAL.

意味のない例(トラフィックパターンにJA815Cしかいない状況)

JA815C, downwind approved, report downwind.

Report downwind, JA815C.

Tower, JA815C. downwind.

JA815C, roger. Report base.

Report base, JA815C.

Tower, JA815C, base.

JA815C, runway 07, cleared touch and go. Wind 070 at 10.

この場合、ダウンウインドの通報は無駄です。

 

トラフィックパターンからの離脱と待機

上記の間隔調整でも間隔がつけられなくなったら、一旦トラフィックパターンから離脱してもらいます。

場周経路を離脱して下さい。
BREAK TRAFFIC (PATTERN).

 

またVFR機を目視位置通報点(管制圏内或いは空港から約10nm以内に設定されるポイント)で待機させる場合は次の用語で発出します。ただし2機を同一地点で待機させる場合は、交通情報を発出します。

〔地点〕上空で〔時刻又は他の条件〕まで待機して下さい。
HOLD AT〔location〕UNTIL〔time or other condition〕.

トラフィック〔航空機型式〕〔地点〕上空(通報高度〔高度〕)で待機中です。
TRAFFIC〔type of aircraft〕HOLDING AT〔locaion〕(REPORTED〔altitude〕).

トラフィック〔航空機型式〕〔地点又は方向〕から〔地点〕へ向っています。
TRAFFIC〔type of aircraft〕PROCEEDING TO〔location〕FROM〔location or direction〕

 

管制圏の通過

VFR機などが管制圏の通過の許可を求めてくるときがあります。この場合、VMC(有視界気象状態)で交通情報を出せる場合は、通過の許可を出します。

なお到着機への情報提供も同時に行います。

管制圏通過を許可します。(その他必要な指示)
CLEARED TO CROSS CONTROL ZONE.(other instructions).

ATIS受領報告あり

Kumamoto tower, JA815C, request cross control zone via south to north. We have information C.
熊本タワー、こちらJA815Cです。南から北への管制圏の通過を要求します。ATIS情報Cを受信済み。

JA815C, Kumamoto tower, runway 07. Cleared to cross control zone via south to north.
JA815C、熊本タワーです。滑走路07運用中。南から北への管制圏の通過を許可します。

 

ATIS受領報告なし

Fukuoka tower, JA815C, request cross control zone via west to east.
福岡タワー、こちらJA815Cです。西から東への管制圏の通過を求めます。

JA815C, Fukuoka tower, runway16, wind 180 at 5, temperature 10, QNH2992, ILS rwy 16 approach in progress. Cleared to cross control zone via west to east.
JA815C、福岡タワーです。使用は滑走路16。風は180度から5ノット、気温は摂氏10度、高度規正値は29.92インチ、滑走路16へのILS進入を実施中です。西から東への管制圏の通過を許可します。

ATIS受領報告がない場合は、使用滑走路の他に、風・気温・高度規正値・運用中の進入方式を通報します。

 

なおVATJPN管制方式基準には掲載されていませんが、空港上空を通過させる場合には次の用語により許可を出すことが望ましいです。

空港上空通過を許可します。
CLEARED TO CROSS OVER THE FIELD.