パイロット向けIFR交信例

このページはIFRでフライトするにあたって基本的な流れをまとめたものです。印刷などし、済んだ交信にはチェックを入れるなどして活用してみてください。
もし分からないことや不安なこと、理解しきれないことがあった場合は積極的に日本語で質問するようにしましょう。
管制官は日本語で的確な指示をくれます。
また、管制官の指示が分からないときに「ラジャー」、「了解しました」等の言葉を使うのは辞めましょう。管制官もあなたも混乱してしまいます。
初心者の皆さまが主役のイベントです。
分からなかった場合は積極的に日本語での交信も交えてイベントを楽しんで下さい!

交信前提

路線 福岡空港(RJFF)->宮崎空港(RJFM)
航空機コールサイン JAL3641
管制コールサインは各所で変わります。
また、VATSIMでは、当該管制官が不在の場合、上位管制官が兼務します。
詳しくはPRCのATCの役割の章を参照してください。

クリアランス(管制: Fukuoka Delivery)

クリアランス要求

Fukuoka Delivery, JAL3641.
福岡デリバリー、JAL3641です。

JAL3641, Fukuoka Delivery. Go ahead.
福岡デリバリーです。どうぞ。

JAL3641, to Miyazaki, proposing FL180, spot 3.
JAL3641、宮崎空港までの管制承認を要求します。要求巡航高度はFL180、スポット3番に駐機中です。)

JAL3641, stand by for clearance.
管制承認発出までお待ちください。

JAL3641.
JAL3641、了解。

クリアランス発出

JAL3641, clearance.
JAL3641、管制承認をお伝えします。

JAL3641, go ahead.
JAL3641、どうぞ。

JAL3641, cleared to Miyazaki Airport, via MORIO 3 departure, SAKURA transition, flight planned route. Maintain FL150, expect FL180. Squawk 4102, read back.
JAL3641は宮崎空港まで、MORIO3ディパーチャー、SAKURAトランジションを経由してその後はフライトプランどおりに飛行してください。FL150を維持し、巡航高度はFL180を予期してください。スコークは4102です。復唱してください。
※太字の部分は管制官が指定します。フライトプランと一緒とは限りません。特に注意して聞き取って下さい。

JAL3641, cleared to Miyazaki Airport, via MORIO 3 departure, SAKURA transition, flight planned route. Maintain FL150, expect FL180. Squawk 4102.
JAL3641は宮崎空港まで、MORIO3ディパーチャー、SAKURAトランジションを経由してその後はフライトプランどおりに飛行します。FL150を維持し、巡航高度はFL180を予期します。スコークは4102。

JAL3641, read back is correct. Monitor ground 121.7, report when ready for push back.
JAL3641、そのとおりです。121.7を聴取しプッシュバックの準備が出来次第通報してください。

Monitor ground 121.7, report when ready. JAL3641.
121.7を聴取し、準備が出来次第通報します。JAL3641。

プッシュバック~地上走行(管制: Fukuoka Ground)

グラウンドへのコンタクト前にATISを確認し、ATIS受領報告を行いましょう。
受領報告がない場合、管制官はファーストコンタクト時にあなたに気象情報や使用滑走路を情報提供します。
これは、管制官・パイロット双方とも通信量が増えて負担になります。落ち着いて飛行するためにもATISは確認しましょう。

プッシュバック

Fukuoka Ground, JAL3641. Request push back, spot 3. With information Foxtrot.
福岡グランド、JAL3641です。スポット3番からのプッシュバックを要求します。ATIS Fを受領しています。
※太字の部分は随時変わります。ATISを確認した上でコードを通報します。

JAL3641, Fukuoka Ground. Push back approved Runway 34.
JAL3641、福岡グランドです。滑走路34番へのプッシュバックを許可します。

Push back approved Runway 34. JAL3641.
滑走路34番へのプッシュバックを許可。JAL3641。

プッシュバックを実施します。

地上走行

JAL3641, request taxi.
JAL3641、地上走行を要求します。

JAL3641, taxi to holding point Runway 34.
JAL3641、滑走路34番の滑走路停止位置へ地上走行してください。

Taxi to holding point Runway 34. JAL3641.
滑走路34番の滑走路停止位置まで地上走行します。JAL3641。

地上走行を開始します。
タクシー中にグラウンドからタワーへの移管を指示されます。

JAL3641, contact Tower 118.4.
JAL3641、タワーに118.4でコンタクトしてください。

Contact Tower 118.4. JAL3641.
タワーに118.4でコンタクトします。JAL3641。

離陸(管制: Fukuoka Tower)

ここからは、飛行中の他機と密接にかかわります。当然ですが、離陸決心速度を超えれば、航空機は止まれません。
もし管制官との意思疎通に齟齬があれば、それは、他機(他者)も巻き込んだトラブルに直結します。
以後着陸までは特に正確な聴取・リードバックに努めるとともに、あいまいにせず、分からなければに聞き直すことを徹底してください。

ここから先は、都度指示項目がほとんどなので、都度部分の太字表記はしません。
管制官の指示をよく聞いて、操縦・復唱してください。

Fukuoka Tower, JAL3641. Approaching Echo 13.
福岡タワー、JAL3641です。E13誘導路に接近中です。
※太字の部分は自身の場所を通報します。

JAL3641, Fukuoka Tower. Hold short of Runway 34. Traffic 3 miles on final.
JAL3641、福岡タワーです。滑走路34番手前で待機してください。到着機が滑走路端から3マイルの地点にいます。
Hold shortの指示がある場合、他機が滑走路を使用しているということです。絶対に滑走路に入ってはいけません

Hold short of Runway 34. JAL3641.
滑走路手前で待機します。JAL3641。

Contact Tower 118.4. JAL3641.
タワーに118.4でコンタクトします。JAL3641。

JAL3641, runway 34, line up and wait.
JAL3641、滑走路34番に進入し待機してください。
滑走路上での待機は、先行機等の他機との間隔調整のために指示されます。絶対に離陸滑走をしてはいけません。

Runway 34, line up and wait. JAL3641.
JAL3641は滑走路34番に進入し待機します。

JAL3641, wind 320 at 12, Runway 34, cleared for takeoff.
JAL3641、風は320度から12ノット、滑走路34番からの離陸支障ありません。

Runway34, cleared for takeoff. JAL3641.
滑走路34番からの離陸支障なし。JAL3641。

さぁ!離陸滑走開始です。大空へはばたきましょう。
離陸後すぐに、ディパーチャーへ移管されます。

JAL3641, contact Departure 119.4.
JAL3641、ディパーチャーに119.4でコンタクトしてください。

Contact Departure 119.4. JAL3641.
ディパーチャーに119.4でコンタクトします。JAL3641。

上昇(管制: Fukuoka Departure)

Fukuoka Departure, JAL3641. Passing 2600 for FL150.
福岡ディパーチャー、JAL3641です。2600ftを通過しFL150へ上昇中です。
※現在高度はズレがあると管制官は聞き直します。正確に報告しましょう。

JAL3641, Fukuoka Departure. Radar contact. Fly heading 090, vector to YURRY. Maintain FL150.
JAL3641、福岡ディパーチャーです。レーダーコンタクト。針路090を飛行してください。YURRYへの誘導を行います。FL150を維持してください。
※この例のように、混雑時などは、クリアランスで指定されたSIDではなく、レーダー誘導が行われることがあります。注意しましょう。

Fly heading 090, maintain FL150. JAL3641.
針路090を飛行し、FL150を維持します。JAL3641。

JAL3641, resume own navigation, direct YURRY. Climb via SID to FL150.
JAL3641、YURRYへ直行してください。SIDの制限に従いFL150まで上昇してください。
※レーダー誘導が終了しました。指定のFIXに直行後、フライトプランに沿って飛びます。

Resume own navigation direct YURRY. Climb via SID to FL150. JAL3641.
YURRYへ直行し、制限に従いFL150まで上昇します。JAL3641。

引き続き、指示高度まで上昇します。
ディパーチャーの管制空域を出るとコントロールに移管されます。

JAL3641, Contact Fukuoka Control 118.9.
JAL3641、福岡コントロールに118.9でコンタクトしてください。

Contact Fukuoka Control 118.9. JAL3641.
福岡コントロールに118.9でコンタクトします。JAL3641。

巡航~降下(管制: Fukuoka Control)

巡航

Fukuoka Control, JAL3641. Passing FL143 for FL150, direct YURRY.
福岡コントロール、JAL3641です。FL143を通過しFL150へ上昇中。YURRYに直行しています。

JAL3641, Fukuoka Control. Recleared direct Kumamoto. Climb and maintain FL180.
JAL3641、福岡コントロールです。熊本VORへ直行してください。上昇してFL180を維持してください。

Recleared direct Kumamoto. Climb and maintain FL180. JAL3641.
熊本VORへ直行し、上昇してFL180を維持します。JAL3641。

降下

着陸に向けて降下がはじまります。
巡航中に進入方式を確認しておきましょう。

JAL3641, descend at pilot’s discretion maintain FL150.
JAL3641、パイロットの判断で降下してFL150を維持してください。

Descend at pilot’s discretion maintain FL150. JAL3641.
パイロットの判断で降下してFL150を維持します。JAL3641。

JAL3641, descend to reach 13000 by KROMA. QNH 29.94.
JAL3641、KROMAを13000ftで通過できるように、パイロット判断で降下してください。QNHは29.94インチです。
※FLからftに切り替わるタイミングでQNHが提供されます。高度計の設定を合わせましょう。

Descend to reach 13000 by KROMA. QNH 29.94. JAL3641.
KROMAを13000ftで通過できるように、パイロット判断で降下します。QNHは29.94インチ。JAL3641。

JAL3641, Contact Kagoshima Radar 121.4.
JAL3641、鹿児島レーダーに121.4でコンタクトしてください。

Contact Kagoshima Radar 121.4. JAL3641.
鹿児島レーダーに121.4でコンタクトします。JAL3641。

アプローチ(管制: Kagoshima Radar/Approach)

アプローチにコンタクトする前に出発時同様、到着空港のATISを確認して、受領報告を行いましょう。

 

Kagoshima Radar, JAL3641. Passing FL145 for 13000. We have information Bravo.
鹿児島レーダー、JAL3641です。FL145から13000ftに降下中です。ATIS Bを受領しています

ここからはいくつかパターン別に説明します。
どのパターンが来ても大丈夫なようにイメージしておいてください。

 

レーダーベクター編

レーダーベクターはフローコントロールなどの間隔調整のためや、ショートカットを目的として実施されます。
イベント中は空港が混雑するため、多く利用されます。

JAL3641, Kagoshima Radar. Fly heading 120 vector to final approach course. Maintain 13000.
JAL3641、鹿児島レーダーです。針路120を飛行し、13000ftを維持してください。

Fly heading 120, maintain 13000. JAL3641.
針路120を飛行し、13000ftを維持します。JAL3641。

JAL3641, turn right heading 150, descend and maintain 6000.
JAL3641、針路150に右旋回し、降下して6000ftを維持してください。

Turn right heading 150, descend and maintain 6000. JAL3641.
針路150に右旋回し、降下して6000ftを維持します。JAL3641。

JAL3641, turn right heading 180, descend and maintain 2000.
JAL3641、針路180度に右旋回し、降下して2000ftを維持してください。

Turn right heading 180, descend and maintain 2000. JAL3641.
針路180に右旋回し、降下して2000ftを維持します。JAL3641。

JAL3641, 10 miles from OYODO, turn right heading 240, cleared for ILS Zulu Runway 27 approach.
JAL3641、OYODOから10マイルの位置にいます。針路240へ右旋回してください。滑走路27番のILS Z進入方式での進入を許可します。
※進入許可以降は、高度・進路ともパイロットの判断で降下していきます。

Turn right heading 240, cleared for ILS Z Runway 27 approach. JAL3641.
針路240へ右旋回します。滑走路27番のILS Z進入方式での進入を許可。JAL3641。

STAR編

STARはあらかじめ定義されたルートで降下・進入していきます。
管制官・パイロット双方ともレーダベクターほど細かい指示が必要ないことがメリットです。
STARによる進入は、あなたがそれに基づいて正しく飛行できることが前提です。もし不安がある場合は遠慮なくレーダーベクターを要請してください。

 

JAL3641, Kagoshima Radar. Cleared via RYUGU arrival. Descend and maintain 6000, cross SIROK at 12000.
JAL3641、鹿児島レーダーです。RYUGUアライバルを経由して飛行してください。降下して6000ftを維持し、12000ftでSIROKを通過してください。
※降下に関する指示を聞き洩らさないように注意しましょう。

Cleared via RYUGU arrival. Descend and maintain 6000, cross SIROK at 12000. JAL3641.
RYUGUアライバルを経由して飛行します。降下して6000ftを維持し、12000ftでSIROKを通過します。JAL3641。

JAL3641, descend via STAR to 2000. Cleared for ILS Z Runway 27 approach.
JAL3641、STARの制限に従い2000ftまで降下してください。滑走路27番のILS Z進入方式での進入を許可します。
※この場合、STARの高度制限を守りながら2,000ftまで降下します。最初からこのような指示がされることもあります。

Descend via STAR to 2000. Cleared for ILS Z Runway 27 approach. JAL3641.
STARの制限に従い2000ftまで降下します。滑走路27番のILS Z進入方式での進入を許可。JAL3641。

タワーへの移管

レーダーベクターの場合もSTARの場合も、進入許可のあとタワーへの移管が行われます。

JAL3641, Contact Miyazaki Tower 118.3.
JAL3641、宮崎タワーに118.3でコンタクトしてください。

Contact Miyazaki Tower 118.3. JAL3641.
宮崎タワーに118.3でコンタクトします。JAL3641。

最終進入~着陸(管制: Kagoshima Tower)

Miyazaki Tower, JAL3641. Approaching OYODO.
宮崎タワー、JAL3641です。OYODOに接近中です。

JAL3641, Miyazaki Tower. Runway 27 continue approach. Preceding Cirrus 22 on short final.
JAL3641、宮崎タワーです。滑走路27番へ進入を継続してください。先行のSR22型機がショートファイナルにいます。

Runway 27, continue approach. JAL3641.
滑走路27番に進入を継続します。JAL3641。

JAL3641, Miyazaki Tower. Runway 27 continue approach. Preceding Cirrus 22 on short final.
JAL3641、宮崎タワーです。滑走路27番へ進入を継続してください。先行のSR22型機がショートファイナルにいます。

JAL3641, Cirrus 22 vacating runway. Runway 27 cleared to land. wind 270 at 8.
JAL3641、SR22型機が滑走路を離脱中です。滑走路27番への着陸支障ありません。風は270度から8ノットです。
※管制官から着陸許可がでない、もしくは着陸復行(Go around)の指示があった場合はそれに従ってください。

JAL3641, Runway 27, cleared to land. JAL3641.
滑走路27番着陸支障なし。JAL3641。

JAL3641, contact Ground 121.9.
JAL3641、グランドに121.9でコンタクトします。JAL3641。

JAL3641, Runway 27, cleared to land. JAL3641.
滑走路27番着陸支障なし。JAL3641。

Contact Ground 121.9. JAL3641.
グランドに121.9でコンタクトします。JAL3641。

スポットへの地上走行(管制: Kagoshima Ground)

Miyazaki Ground, JAL3641. Spot 12.
宮崎グランド、JAL3641です。スポット12番です。

JAL3641, Miyazaki Ground. Taxi to spot 12.
JAL3641、宮崎グランドです。スポット12番へ地上走行してください。

Taxi to spot 12. JAL3641.
スポット12番へ地上走行します。JAL3641。

Contact Ground 121.9. JAL3641.
グランドに121.9でコンタクトします。JAL3641。

JAL3641. Spot in. Good night!
JAL3641です。スポットに到着しました。

JAL3641. Good night.
JAL3641、お疲れ様でした。

フライトお疲れさまでした!!

最後に

いかがだったでしょうか?フライトできましたか?イメージはつかめましたか?怖気づいてしまったでしょうか...?
安心してください。VATSIMそしてVATJPNは、どれだけうまく飛べるかを競う競技会ではありません
ぜひVATSIM行動規範(VATSIM Code of Conduct)を読んでみてください
「VATSIMの主な目標の一つは、楽しく、それと同時に教育的であり、またパイロットと管制官によるリアルなシミュレーション環境を日常的に世界中で作り上げることです。」とあります。
時に、あなたが人を待たせることもあるし、人に待たされることもあるでしょう。迷惑をかけたりかけられたりすることもあります。
しかし、そういうコラボレーションも含めてVATSIMが目指すところであり、マルチプレイの醍醐味です。ぜひポジティブに楽しんでください!

もっと体系的に学びたい方は、パイロット向けのマニュアルであるPRCVATJPN管制方式基準もあります。
また、知識の確認を兼ねてパイロットラーニングセンターでパイロットレーティングを取得することもできます。
ぜひチャレンジしてみてください。

VATSIM及びVATJPNはあなたの参加をお待ちしています。